M-1グランプリの優勝候補としても名高いお笑いコンビのエバースが、国民的番組『笑点』に出演した際のネタがネット上で大きな議論を呼んでいます。
ツッコミ担当の町田和樹さんが漫才中に放った「ある一言」に対し、著名な漫画家が苦言を呈したことで炎上に発展しました。
単なる失言騒動にとどまらず、現代のお笑いとコンプライアンスの難しさを浮き彫りにした今回の騒動について、その経緯と背景を詳しく解説します。
- 笑点で町田さんが発言した「女性の寿司職人がいない理由」の具体的な内容
- 漫画家・せきやてつじ氏が指摘した「偏見」の問題点と炎上のきっかけ
- ネタの文脈やキャラクター設定と、視聴者の受け取り方のズレ
- コンプライアンス重視のテレビ業界における漫才のあり方と芸人仲間の反応
エバース町田が炎上したのはなぜ？笑点での発言内容
2025年10月19日に放送された日本テレビ系『笑点』に初登場したエバースは、得意の漫才を披露し、会場の観客からは多くの笑いを獲得していました。
しかし、放送終了後、SNSを中心に漫才の中でのあるくだりが問題視され、炎上状態となりました。
「女性は体温が高い」という寿司職人に関する発言
問題となったのは、ツッコミの町田和樹さんが「一番好きな食べ物」について語る場面での発言です。
町田さんは「俺だったら回らない寿司」と答え、そこから寿司職人に関するうんちくを語り始めました。
相方の佐々木隆史さんに対し、「板前さんってほとんど男性の方しかいないじゃん。なんで女性いないか知ってる？」と問いかけ、自らその理由を次のように説明しました。
この発言に対し、佐々木さんが
「すみません、なんかダラダラしゃべって」
と軽くあしらい、最終的には
「広瀬すずちゃんが握った場合は温かい方がいい」
というオチにつなげて漫才を締めくくりました。
あくまで漫才のボケやフリとしての発言でしたが、この「女性は体温が高いから寿司職人に向かない」という説が、公共の電波を通じて流れたことに批判が集まりました。
かつてはまことしやかに語られていたこの説ですが、現在では医学的根拠のない俗説であり、女性の社会進出を阻む「古い偏見」であるとされています。
実際には多くの女性寿司職人が活躍しており、性別による体温差が寿司の味に影響するという考え方は否定されています。
漫画家せきやてつじ氏による指摘と拡散
この放送に反応し、炎上の直接的なきっかけを作ったのが、人気漫画『バンビ～ノ！』などで知られる漫画家のせきやてつじ氏でした。
せきや氏は自身の作品で寿司職人をテーマにした経験があり、その際に多くの女性寿司職人を取材してきたといいます。
せきや氏は自身のX（旧Twitter）で、
「『女性は体温が高いから寿司職人になれない』と発言されてましたが、それは昔の偏見です」
と明確に否定しました。
さらに、
「日本には沢山の女性寿司職人が今日も寿司を握っております。地上波放送でこのような偏見が流れた事にとても残念な気持ちでいます」
と、クリエイターとしての懸念を表明しました。
この投稿は瞬く間に拡散され、ネット上では
「令和の時代に昭和の価値観を垂れ流すのは良くない」
「子供も見る番組で嘘を教えることになる」
といった批判的な意見が多く寄せられる事態となりました。
せきや氏はその後も、
「あらゆる偏見を流布しないよう配慮するのはエンタメに携わる全ての人が気を付けなければならない事」
と持論を述べています。
なぜこのネタが問題視されたのか？批判と擁護の声
今回の炎上騒動では、単にエバースを批判する声だけでなく、彼らを擁護する声も多く上がっており、意見が真っ二つに割れています。
なぜひとつの漫才ネタがここまで大きな議論になったのか、その背景には「情報の正しさ」と「お笑いのフィクション性」という対立軸がありました。
科学的根拠のない「古い偏見」への懸念
批判側の主な主張は、公共の電波で誤った情報や偏見を拡散することへの懸念です。
『笑点』は老若男女幅広い層が視聴する国民的番組であり、そこでの発言は視聴者に「事実」として受け取られる可能性があります。
「女性は体温が高い」という説は、長年女性が寿司職人になる道を閉ざす理由として使われてきた経緯があり、現在活躍している女性職人たちにとっては非常にデリケートな問題です。
そのため、たとえネタの一部であっても、そうした偏見を助長しかねない発言を地上波で流すべきではなかったという意見には一定の説得力があります。
また、テレビ局側の編集責任を問う声も上がっており、
「なぜ収録番組なのにカットしなかったのか」
という指摘も見られました。
漫才のキャラ設定とフィクション性のジレンマ
一方で、エバースを擁護する側は、これが「漫才というフィクションの中での発言」であることを強調しています。
エバースの漫才スタイルは、町田さんが「少しズレた知識や価値観を得意げに語る痛い男」を演じ、それを佐々木さんが冷ややかに見守るという構図が基本です。
今回のネタに関しても、町田さんが披露したうんちくは、あえて「ネットで聞きかじったような浅い知識」を得意げにひけらかす演技だった可能性があります。
ネタを作成した佐々木さんは、その情報が古い偏見であることを理解した上で、あえて町田さんに言わせることで、彼の滑稽さを際立たせようとしたという解釈もできます。
擁護派からは、
「漫才のキャラが言ったことに目くじらを立てるな」
「なれないとは言っておらず、現状を説明しただけ」
「これを封じられたら漫才ができなくなる」
といった声が上がっています。
しかし、短い持ち時間の中で、そうした高度な文脈やキャラクター設定が全ての視聴者に伝わるとは限りません。
前後の文脈なしにそのセリフだけを聞けば、単なる差別的な発言として受け取られてしまうリスクがあったことは否めません。
今後のエバースへの影響は？炎上から見るお笑いの未来
今回の騒動は、エバースという一コンビの問題にとどまらず、コンプライアンスが厳格化する現代において、お笑い芸人がどのようなネタを作るべきかという大きな課題を突きつけました。
芸人仲間からの反応とコンプラの壁
この炎上を受けて、芸人仲間からもSNS上で嘆きの声が上がっています。
9番街レトロの京極風斗さんは
「漫才のネタが叩かれて世も末ですな。芸人皆で手を繋いで死にましょう」
と投稿し、過度なコンプライアンス意識がお笑いの自由を奪っている現状を嘆きました。
また、ツーナッカンの中本さんも
「笑点に出る事、目標にしてたけど…こりゃ無理だな」
とコメントしています。
かつて、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーも、正しさやポリティカル・コレクトネスを基準に語る風潮に対し、
「正しいか悪いかなんて、つまらない」
と発言したことがありました。
表現の世界において、「正しさ」と「面白さ」のバランスをどう取るかは永遠の課題ですが、今回のエバースの炎上は、その難易度が以前にも増して高くなっていることを浮き彫りにしました。
特にテレビ番組用のネタでは、劇場以上に配慮が求められる時代になったと言えるでしょう。
M-1グランプリ2025への影響
エバースは2024年のM-1グランプリで4位という好成績を残しており、2025年の大会でも優勝候補の一角として期待されています。
年末に開催されるM-1グランプリ2025を控えたこの時期での炎上は、彼らにとって精神的に少なからず負担となる可能性があります。
ネタの内容に対する世間の監視の目が厳しくなる中で、彼らが萎縮せずに自分たちのスタイルを貫けるかが今後の鍵となります。
エバースの漫才は完成度が高く、多くのファンに支持されています。
今回の騒動を教訓としつつも、彼ららしい鋭い視点と笑いを失わずに活躍してくれることを多くのファンが願っています。
まとめ：エバース町田が炎上したのはなぜ？笑点での寿司ネタ発言と理由を解説
今回のエバース町田さんの炎上騒動についてまとめます。
- 炎上の発端は『笑点』での漫才中における町田さんの発言
- 「女性は体温が高いから寿司職人がいない」という内容が問題視された
- 漫画家せきやてつじ氏が「古い偏見である」とXで指摘し拡散された
- 「女性は体温が高い」説は現在では科学的根拠のない俗説とされている
- 批判派は「公共の電波で偏見を広めるな」とテレビ局の責任も指摘
- 擁護派は「漫才のキャラ設定（痛い男）としての発言」と主張
- ネタ作成者の佐々木さんは偏見と理解した上でネタにした可能性が高い
- 芸人仲間からは漫才のセリフまで検閲される現状を嘆く声が上がった
- コンプライアンスとお笑いのバランスの難しさが改めて浮き彫りになった
- M-1グランプリ2025を控えた大事な時期であり、今後の活動への影響が注視される
今後のご活躍を期待します。
