
フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」でおなじみの生物学者、池田清彦氏。
独特の視点と「がんばらない生き方」の提唱で知られますが、その背景には確かな学問的経歴があります。
昆虫少年から大学名誉教授、そして多彩な著者・コメンテーターとしての顔を持つ同氏の人物像に迫ります。
この記事を読むことで、以下の点が明らかになります。
- 池田清彦氏の出生から大学院修了までの詳細な学歴
- 高校教師から大学教授(早稲田・山梨大学名誉教授)に至る職歴の変遷
- 「構造主義生物学」という独自の専門分野と研究内容
- テレビ出演、著書、YouTubeなど最新のメディア活動
池田清彦のwikiプロフィール:昆虫少年から早稲田大学名誉教授への経歴

池田清彦氏は、テレビでの親しみやすいキャラクターとは裏腹に、学問の世界で一貫したキャリアを築き上げてきた人物です。
その経歴は、東京都足立区での幼少期から始まり、生物学への深い探究心によって大学教授、そして二つの大学の名誉教授という地位にまで到達しました。
幼少期と学歴(足立区時代から理学博士取得まで)
1947年、池田清彦氏は東京都足立区に生まれます。
幼少期は小児結核を患い、保育園や幼稚園には通えない病弱な子どもでした。
しかし、この時期が後の専門分野につながる原体験となります。
室内での生活が多かった中、父親がアメリカザリガニ採集に連れ出してくれたことが、生物への尽きない好奇心の出発点となりました。
小学校3〜4年生頃からは昆虫採集にのめり込み、その情熱は学業にも影響を与えます。
中学生になると、高尾山や奥多摩へ自ら電車で足を運び、日本産の蝶の名前と特徴を飛んでいる姿だけで判別できるほどに記憶していました。
この頃にはすでに将来の職業として「大学教授」を志します。
その動機は
「一番暇そうでストレスがなさそうな職業に見えたから」
という、彼らしい合理的な視点によるものでした。
その学歴は、一貫して生物学の道を進むものでした。
| 年 | 学歴 |
| 1960年 | 足立区立梅島第一小学校 卒業 |
| 1963年 | 足立区立第四中学校 卒業 |
| 1966年 | 東京都立上野高等学校 卒業 |
| 1971年 | 東京教育大学 理学部 生物学科 動物学専攻 卒業 |
| 1977年 | 東京都立大学 大学院理学研究科 博士課程(生物学専攻) 単位取得満期退学 |
| 1978年 | 東京都立大学より理学博士の学位を授与 |
大学時代には、その独特な学習スタイルを示すエピソードが残っています。
通信簿には
「知能のわりにはよくがんばっていると思うので、成績が多少悪くても叱らないでください」
と書かれたこともあったと言います。
一方で、国語の教科書は学期の初めにすべて読み、暗記してしまうという特異な能力も発揮していました。
職歴の変遷:高校教師から大学教授への道
池田氏の職歴は、大学院在学中の1976年に東京都公立高校の教諭としてスタートします。
この3年間の高校教師経験は、自身の学生時代の体験も踏まえ、独自の教育メソッドを開発するなど、後の教育観や子どもの自主性を重んじる姿勢に影響を与えました。
1978年に理学博士の学位を取得すると、本格的に研究者・教育者としてのキャリアを歩み始めます。
- 山梨大学での発展(1979年 – 2004年)
- 1979年: 山梨大学 教育学部 講師
- 1981年: 山梨大学 教育学部 助教授
- 1990年: 山梨大学 教育学部(1998年より教育人間科学部に改組) 教授
- 早稲田大学での国際的活動(2004年 – 2018年)
- 2004年: 早稲田大学 国際教養学部 教授に就任。
- 同時に、長年貢献した山梨大学から名誉教授の称号を受けます。
- 2018年: 早稲田大学を退官し、早稲田大学 名誉教授となります。
現在、池田清彦氏は山梨大学と早稲田大学の両大学から「名誉教授」の称号を授与されています。
また、2015年からは、中学生時代に昆虫採集に訪れた高尾山のミュージアム「高尾599ミュージアム」の名誉館長も務めており、自身の学問的ルーツとも言える地での自然保護活動にも貢献しています。
池田清彦の専門分野と業績:構造主義生物学とは

池田清彦氏のプロフィールを語る上で欠かせないのが、その専門分野です。
彼は単なる生物学者ではなく、「構造主義生物学」および「理論生物学」という、独自のアプローチを提唱する研究者です。
専門は「構造主義生物学」
池田氏の提唱する「構造主義生物学」は、ダーウィン以来の主流な進化論である「ネオダーウィニズム(総合進化説)」とは異なるパラダイムを提示するものです。
従来の進化論が、遺伝子(DNA)の突然変異や自然選択の積み重ねによって生物の進化を説明しようとするのに対し、池田氏は
「ネオダーウィニズムは壮大な錯誤体系」
ではないかと考えるようになりました。
彼が着目したのは、生物の「構造」そのものです。
例えば、人間とチンパンジーはDNAの98.8%が同じであるにもかかわらず、その形態や能力は大きく異なります。
この「違い」を生み出しているのは、個々のDNAの違い以上に、そのDNAの発現を司る「システム(構造)」であると考えます。
この理論は、言語学者のソシュールが提唱した「構造主義」を生物学に応用したもので、「生物の形質(かたち)を決めるのは、個々のDNAよりもむしろ、そのDNAの発現を司るシステム全体である」という考えに基づいています。
高名な生物学者であった柴谷篤弘氏と共に、この新しい生物学の分野を立ち上げました。
『構造主義生物学とは何か』(1988年)、『構造主義科学論の冒険』(1990年)といった著書で、その理論を体系的に発表しています。
昆虫研究家としての一面
池田氏の学問的基盤には、幼少期から続く昆虫への深い愛情があります。
特にカミキリムシの研究・収集家としては国内でも有数の存在として知られています。
この趣味は、同じく昆虫採集を趣味とする解剖学者の養老孟司氏や、フランス文学者の奥本大三郎氏とも共通しており、研究分野を超えて深い親交を結ぶきっかけとなっています。
こうした研究活動の成果として、これまでに発表した学術論文は293本にのぼります。
専門誌の『月刊むし』のほか、『現代思想』や『ユリイカ』といった思想系・文芸系の雑誌にも多数寄稿しており、その知見が専門分野にとどまらない広がりを持つことを示しています。
池田清彦のメディア活動と著作:多才なプロフィール

池田清彦氏は、アカデミックな世界での輝かしい経歴に加え、メディアを通じて一般社会にも強い影響力を持つ人物です。
専門知識を分かりやすく、時には挑発的に発信することで、そのプロフィールをより多層的なものにしています。
「ホンマでっか!?TV」での活躍と影響力

池田氏の知名度を全国区にしたのは、2009年の番組開始当初から出演を続けるフジテレビ系「ホンマでっか!?TV」です。
生物学評論家として、番組の左端の定位置から冷静な解説を加える姿は、番組に欠かせない存在となっています。
出演のきっかけは、2006年に発表した著書『環境問題のウソ』が注目を集め、他局の討論バラエティに出演したことでした。
番組開始当初の深夜放送時代は、武田邦彦氏と共に環境問題などについて過激な発言をしてもオンエアされていましたが、2010年にゴールデンタイムに進出してからは
「同じスタンスで話してもカットされる部分が多くなった」
と本人が語っています。
番組内で飛び出す、
「人生に意味は不要」
「がんばらない生き方」
といった発言は、単なるテレビ的なパフォーマンスではありません。
それらは、生物のあり方を俯瞰する構造主義生物学者としての視点から導き出された、彼独自の人生哲学に基づいています。
2025年現在、77歳という年齢を感じさせない聞き取りやすい口調とユーモラスな解説で、お茶の間からの支持も集めています。
100冊を超える驚異的な著作活動
池田氏は、100冊を超える膨大な数の著書を持つ、非常に多作な著者でもあります。
そのジャンルは、難解な専門書から、一般向けの生き方論、科学哲学、環境問題、社会時評に至るまで、極めて広範です。
専門分野では『構造主義生物学とは何か』が代表作ですが、一般向けには『がんばらない生き方』『人生に「意味」なんかいらない』『やがて消えゆく我が身なら』といった著作がベストセラーとなり、多くの読者の共感を呼びました。
その執筆意欲は2024年以降も全く衰えておらず、社会の「バカ」を斬る痛快な批評や、自身の死生観、災害への警鐘など、鋭い視点で新刊を発表し続けています。
2024年〜2025年の主な新刊(確認できるもの):
- 『明日は我が身と思うなら』 (角川新書, 2025年11月)
- 『老いと死の流儀』 (扶桑社新書, 2025年11月)
- 『日本壊滅: 巨大地震(南海トラフ・首都直下)被害を最小限に抑える』 (本の雑誌社, 2025年7月)
- 『国家は葛藤する』(内田樹氏との共著, ビジネス社, 2024年11月)
- 『共感バカ』 (祥伝社新書, 2024年10月)
- 『多様性バカ 矛盾と偽善が蔓延する日本への警告』 (扶桑社新書, 2024年8月)
- 『オスの本懐』(和田秀樹氏との共著, 新潮新書, 2024年8月)
- 『「頭がいい」に騙されるな』 (宝島社新書, 2024年5月)
デジタルメディアでの情報発信と講演活動
池田氏の活動の場は、テレビや紙媒体にとどまりません。
デジタルメディアを活用し、より直接的に自身の考えを発信しています。
- メールマガジン:
『池田清彦のやせ我慢日記』を「まぐまぐ」で月2回配信しています。
時事問題や専門的な知見を深く掘り下げた内容は高く評価され、「まぐまぐ大賞2024」で殿堂入りを果たしました。
過去には、EUでは使用が禁止されている農薬の残留基準が日本では緩和されている問題を指摘し、大きな反響を呼びました。 - YouTube / Voicy:
『池田清彦の森羅万象』と題し、時事問題、生物学、雑学、SDGsの問題点など、幅広いテーマで音声や動画を配信しています。 - 講演活動:
2025年現在も、全国各地で講演活動を精力的に行っています。
「がんばらない生き方」「ほどほどに生きる」「楽な子育て」「ほんとうの環境問題」といったテーマは、自治体や教育関係、一般企業など幅広い層から支持されています。
2025年だけでも、袖ケ浦市(2月)、吉備高原(8月)、一宮市(10月)、武豊町(10月)などで講演が予定されており、その活動力は健在です。
池田清彦の独自の人生観と「がんばらない」経歴の背景
池田清彦氏のユニークな経歴と多彩な活動は、彼独自の強固な人生哲学によって支えられています。
その哲学は、生物学者としての知見と、幼少期からの「型にはまらない」性質に由来しています。
「長生き3箇条」という健康哲学
2025年時点で77歳を迎えますが、10年間健康診断を受けていないと公言しています。
その代わりに実践しているのが、生物学者としての知見に基づく「長生き3箇条」です。
- やりたくないことはやらない
- まずいものは食べない
- 病院にはなるべく行かない
この哲学は、ストレスを避け、生物としての自身の感覚を信じるという、彼なりの合理的な判断に基づいています。
この「やりたくないことはやらない」という姿勢は、子供時代から一貫しています。
知能検査が嫌いで、真面目に受けずにデタラメを書いていたというエピソードや、自身の結婚式で牧師に
「永遠の愛を誓いますか」
と問われ、熟慮の末に
「わかりません」
と答えたという逸話にも表れています。
この時の「学名は永遠だが、愛は永遠ではない」という考え方は、彼の現実的かつ生物学的な視点を象徴しています。
学術と大衆をつなぐ稀有な存在
池田清彦氏のプロフィールと経歴をたどると、東京都足立区の病弱な昆虫少年が、その情熱を原動力に理学博士、そして早稲田大学・山梨大学の名誉教授へと上り詰めた、学問一筋の軌跡が見えてきます。
難解な学術論文や「構造主義生物学」の確立といったアカデミックな業績だけでは完成しません。
「ホンマでっか!?TV」での15年以上にわたる活躍、100冊を超える一般向けの著作、YouTubeでの情報発信は、専門的な知見を社会に還元し、時には常識に鋭く切り込む「評論家」としての側面を強く示しています。
学術的な権威と大衆的な知名度。
この二つを高いレベルで両立させ、77歳を超えてなお第一線で活動を続ける池田清彦氏は、学術界とメディア界を橋渡しする、極めて稀有な存在と言えるでしょう。
池田清彦氏のwikiプロフィールと経歴のまとめ
- 1947年、東京都足立区生まれ。
- 幼少期に昆虫採集に目覚め、中学生で大学教授を志す。
- 東京教育大学(現・筑波大学)理学部を卒業後、東京都立大学大学院で理学博士号を取得。
- 職歴は高校教師から始まり、山梨大学教授、早稲田大学国際教養学部教授を歴任。
- 現在は、早稲田大学と山梨大学の二つの名誉教授の称号を持つ。
- 専門は「構造主義生物学」で、従来のダーウィン進化論とは異なるアプローチを提唱。
- カミキリムシ研究の第一人者であり、養老孟司氏らと親交が深い。
- 2009年から「ホンマでっか!?TV」に生物学評論家としてレギュラー出演中。
- 著作は100冊を超え、『がんばらない生き方』などベストセラーも多数。
- 2024年〜2025年も『明日は我が身と思うなら』などを出版し、精力的な執筆・講演活動を続けている。

今後のご活躍を期待します。















