愛知県瀬戸市にある聖霊高校で、ソフトボール部の主将を務めていた女子生徒が、顧問の不適切指導が原因で自ら命を絶つという痛ましい事件が発生しました。
この問題は、学校側の対応の遅れや不誠実さが指摘され、社会的な関心を集めています。
本記事では、この事件の経緯と問題点を詳しく解説します。
聖霊高校ソフトボール部で何が起きたのか

2022年4月、聖霊高校ソフトボール部の主将だった当時18歳の女子生徒が、部活動を終えて帰宅後に自殺しました。
この出来事に対し、学校を運営する南山学園は弁護士らで構成される第三者委員会を設置し、調査を進めました。
第三者委員会が認定した不適切指導の内容
第三者委員会が2024年9月に公表した報告書によると、女子生徒が亡くなった当日、顧問の男性教師から
「お前はいらない」
「キャプテンじゃなければ試合に出していない」
といった暴言があったことが認定されました。
女子生徒は以前から腰の怪我に悩んでおり、思うようなプレーができないことに苦しんでいました。
報告書では、こうした顧問の暴言が女子生徒の存在価値を否定し、深く傷つけるものであり、自殺の一因となった可能性を否定できないと結論付けました。
顧問の教師は第三者委員会の調査に対し、暴言を言ったことについては
「記憶にない」
と否定しています。
しかし、
「生徒の心情に気付けなかったことは深く反省している」
と述べていると報じられています。
事件後の聖霊高校と顧問の対応
女子生徒の死後、学校側の対応は多くの批判にさらされています。
特に問題視されたのは、顧問が長期間にわたり指導を継続していたこと、そして学校側の情報公開の姿勢です。
顧問の指導継続と学校側の対応
第三者委員会の報告書がまとまった後も、問題の顧問は2025年8月まで約1年間、ソフトボール部の顧問として指導を続けていました。
学校側は
「実技指導など、部員のことを考えて継続した」
と説明していますが、この対応は遺族や関係者から強い不信感を招きました。
また、学校側は当初、他の生徒たちに女子生徒の死因を
「交通事故」
と説明していました。
第三者委員会の報告書では、この虚偽の説明が遺族の感情に反し、学校への不信感を抱かせる一因になったと指摘されています。
保護者説明会での紛糾
2025年9月11日に行われた保護者説明会では、学校側の対応に不満を持つ保護者からの厳しい意見が相次ぎました。
- 「顧問が今も教科指導にあたっていることに不安がある」
- 「遺族に対して誠意ある対応をしてほしい」
説明会では、池田真一副校長が終始顧問を擁護するような発言を繰り返し、
「それは貴方がそう感じただけです」
といった発言で紛糾したと報じられています。
また、説明会の冒頭で司会者が
「質問者は子供の学年、クラス、名前を言え」
と発言し、反発を招くなど、学校側の不誠実な姿勢が浮き彫りになりました。
この事件は、文部科学省の部活動指導ガイドラインに照らして顧問の指導が不適切だったと認定されており、愛知県への報告が義務付けられていたにもかかわらず、学校がこれを怠っていたことも明らかになっています。
愛知県の大村秀章知事は、この報告義務違反に対し
「極めて遺憾」
と述べています。

なぜ聖霊高校の対応は遅れたのか

この事件を巡る聖霊高校の対応の遅れと不信感の背景には、いくつかの要因が考えられます。
隠蔽体質との指摘
学校が他の生徒に「交通事故」と説明したことや、第三者委員会の報告書がまとめられた後も、顧問が長期間指導を続けていたことから、事件を矮小化し、隠蔽しようとする意図があったのではないかという指摘がなされています。
南山学園は
「隠蔽ではなく、手続きを失念していた」
と釈明していますが、この対応が遺族や世間からの信頼を大きく損なう結果となりました。
顧問への過度な擁護
保護者説明会での副校長の発言に見られるように、学校側が問題の顧問を擁護する姿勢を崩さなかったことも、保護者の不信感を募らせる大きな要因となりました。
これは、強豪校として部活動で実績を上げてきた顧問への評価が、生徒の安全や心のケアよりも優先されたのではないかという疑念を生んでいます。
まとめ:聖霊高校ソフトボール部主将の自殺
愛知・聖霊高校ソフトボール部での女子生徒の自殺事件は、不適切な指導の存在とその後の学校の対応の不誠実さが明らかになった重大な問題です。
- 顧問の暴言が自殺の一因と認定された:
第三者委員会は、顧問による「お前はいらない」といった暴言を事実と認定し、自殺との因果関係を指摘しました。 - 学校側の情報隠蔽と対応の遅れ:
生徒に「交通事故」と虚偽の説明をしたことや、問題の顧問を長期間にわたり指導に残したことは、隠蔽体質を疑わせるものでした。 - 保護者説明会での紛糾:
保護者説明会での学校側の不誠実な対応が、さらなる不信感を招きました。 - 報告義務の怠慢:
文科省のガイドラインに基づく県への報告を怠っていたことが判明し、行政からも批判を受けました。 - 今後の課題:
この事件を教訓に、学校は生徒の心のケア体制を強化し、再発防止策を徹底することが求められています。

副校長を初めとするこの学校の関係者は、人の命を何だと思っているのでしょうか。



怒りを禁じえません。



