準強制性交の疑いで、兵庫県尼崎市の耳鼻咽喉科クリニック院長で、63歳の医師の男が逮捕されました。
容疑者は、窃盗容疑でも逮捕されており、その後の調べで今回の容疑が浮上しました。
事件の詳細を見ていきたいと思います。
事件の概要

- 兵庫県尼崎市の耳鼻咽喉科クリニック院長、瀬尾 達(せお わたる)容疑者(63)が準強制性交の疑いで逮捕されました。
- 容疑は5年前、自身のクリニック内で、当時28歳の女性患者に薬剤のようなものを投与し、抵抗不能な状態にして性的暴行を加えた疑いが持たれています。
- 瀬尾容疑者は「今は覚えていません」と容疑を否認しています。
- この5年前の容疑は、別の事件の捜査中に発覚しました。
- 瀬尾容疑者は今年7月、自身のクリニックと同じ階の薬局から糖尿病の治療薬「リベルサス」20錠を盗んだ疑い(窃盗)で逮捕されており、その後の調べで今回の容疑が浮上しました。
犯行動機

「わいせつ目的」であると推測されますが、捜査の進展を待ちたいと思います。
本事件で想定される刑罰・量刑

容疑(準強制性交と窃盗)が両方とも有罪と認定された場合、日本の刑法に基づき、以下のような刑罰が科される可能性があります。
※これは法律上の想定であり、実際の量刑は、証拠、犯行の悪質性、被害の程度、示談の有無、前科、反省の態度など、多くの要因を裁判所が総合的に考慮して決定されます。
1. 準強制性交等罪(刑法178条)
こちらが、2件の容疑のうち格段に重い罪です。
報道によれば、薬剤(薬物)を用いて被害者を抵抗不能な状態に陥らせて性的暴行を加えた疑いとされています。
これは刑法第178条2項の「準強制性交等罪」に該当します。
この罪の刑罰は、通常の「強制性交等罪」(刑法177条)と同じであり、「5年以上の有期拘禁刑(懲役)」と定められています。
- 「5年以上」とは、最低でも5年の実刑判決が下されることを意味します(執行猶予が付かない限り)。
- 有期刑の上限は原則20年です。
- 被害者が患者であり、医師が治療と称して薬物を投与したという立場を利用した犯行であった場合、非常に悪質とみなされ、重い量刑が科される可能性が高くなります。
2. 窃盗罪(刑法235条)
クリニックと同じ階の薬局から糖尿病治療薬を盗んだ疑いです。
- 窃盗罪の刑罰は、「10年以下の拘禁刑(懲役)または50万円以下の罰金」です。
3. 複数の罪が科される場合(併合罪)
今回は、5年前の「準強制性交」と、今年7月の「窃盗」という、時期も内容も異なる2つの事件が同時に審理されることになります。
このように複数の罪で有罪となる場合、刑法では「併合罪(へいごうざい)」として、刑罰の計算方法が定められています(刑法47条)。
- 最も重い罪(今回は準強制性交罪)の刑期の上限(20年)を、1.5倍にした期間(30年)が、科すことのできる刑期の上限となります。
- 下限は、最も重い罪の下限(準強制性交罪の5年)が適用されます。
したがって、もし両方の罪で有罪となり、併合罪として扱われた場合、裁判所は「5年以上30年以下」の範囲で拘禁刑(懲役)を言い渡すことになります。
4. 行政処分(医師免許)
刑事罰とは別に、容疑者は医師であるため、重い行政処分が予想されます。
医師法(第7条)に基づき、医師が「罰金以上の刑に処せられた者」や「医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者」に該当した場合、厚生労働大臣は以下の処分を行うことができます。
- 免許の取消し
- 医業の停止(期間を定めて)
- 戒告
特に「準強制性交」という重大な犯罪で有罪判決(罰金刑ではなく拘禁刑(懲役刑))が確定した場合、ましてや被害者が患者であった場合、医師としての適格性を著しく欠くと判断される可能性が極めて高いです。
そのため、実刑判決になるかどうかにかかわらず、有罪が確定すれば
という、最も重い行政処分が科されることが強く想定されます。
瀬尾容疑者の勤務先

瀬尾容疑者は、兵庫県尼崎市七松町1-2-1-302「瀬尾クリニック」の院長を務めています。
瀬尾容疑者の自宅住所
神戸市東灘区西岡本2丁目
瀬尾容疑者の家族構成
今後の捜査で明らかになってくると思われます。
瀬尾容疑者のプロフィール・学歴
医療法人瀬尾記念会 瀬尾クリニック 理事長院長 瀬尾 達 ■昭和37年、尼崎市西難波町生れ 大阪星光学院高校、兵庫医科大学卒業後、兵庫医科大学耳鼻咽喉科学教室入局、兵庫医科大学研修医、医員、助手、医長、講師をへて、平成12年4月、尼崎市七松町において、瀬尾クリニック、開設。 平成14年1月、医療法人瀬尾記念会理事長。 大学病院での診療のほか、大学の関連病院である複数の 県立病院主任医長や日本耳鼻咽喉科学会研修指導責任者を務めた。 平成7年1月に発生した阪神淡路大震災では兵庫医大耳鼻咽喉科の救護班長を務めた。 ■兵庫医科大学非常勤講師 ■日本耳鼻咽喉科学会専門医 ■日本気管食道科学会専門医 ■厚生労働省指定研修医療機関 指導医 ■身体障害者法15条指定医 ■兵庫県立衛生学院講師 ■尼崎健康医療財団看護学校講師 その他、 大学講師、学校講師、尼崎市内校医園医多数担当 尼崎市教育委員会によると、瀬尾容疑者は今年8月4日まで市立小学校の校医も担当していた。 |
瀬尾容疑者のSNS

Instagramに同容疑者のアカウントがありましたが、何も投稿されていませんでした。
SNSの声

SNSに寄せられたコメントを要約しました。
- 多くの女性が、過去の診察(聴診器の当て方や触診)で「診察の一環か、わいせつ行為か」と疑問や不快感を抱いた経験があることが示唆されています。
- 患者側は「お医者さんだから」「診察に必要なのだろう」と自分の疑念を抑え込み、その場で医師の行為を疑うのは失礼だと感じてしまう心理が指摘されています。
- 今回の事件や過去の不快な経験により、医療機関(特に男性医師)への不信感が生まれ、乳がん検診や婦人科の受診をためらったり、中断したりする人が増え、病気の発見が遅れることへの懸念が示されています。
- 最も多く提案されている対策は、「男性医師が女性患者を診察する際は、必ず女性看護師を立ち会わせる(シャペロン制度)」ことの徹底です。これは患者を守るだけでなく、医師自身を疑いから守る(保身)ためにも重要だとされています。
- 医師側は、患者の不安を取り除くため、なぜその診察(身体接触)が必要なのかを事前に説明する「インフォームドコンセント」を徹底すべきだという意見も多く見られました。
- 今回の事件については、容疑者が耳鼻咽喉科医であることから、なぜ聴診器や薬剤投与が必要だったのか、その診察行為自体に強い疑問が呈されています。
- 容疑者の「覚えていません」という供述は、潔白な人の「やっていません」という否定とは異なり、事実上の自白ではないかと受け止める意見もありました。
- 医師や教師など、信頼される立場を利用した犯罪は特に悪質であり、より厳罰に処すべきだという社会的な怒りも示されています。
本事件のまとめ
- 兵庫県尼崎市の耳鼻咽喉科クリニック院長、瀬尾達容疑者(63)が逮捕されました。
- 容疑は、5年前に自身のクリニックで女性患者(当時28)に薬剤を投与し、抵抗できない状態にして性的暴行を加えた「準強制性交」の疑いです。
- 瀬尾容疑者は「今は覚えていません」と容疑を否認しています。
- 瀬尾容疑者は今年7月、薬局から糖尿病治療薬を盗んだ「窃盗」の疑いでも逮捕されていました。
- 今回の5年前の性的暴行容疑は、この窃盗事件の捜査を進める中で発覚しました。

今後の捜査を見守りたいと思います。













