【釧路湿原】メガソーラー事業者はどこ?問題点は?対立の核心を徹底解説

北海道釧路市で進められている大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設計画が、大きな注目を集めています。

この計画は、再生可能エネルギーの推進という側面を持つ一方で、タンチョウなど希少な野生動物の生息環境への影響を懸念する声が上がり、事業者と専門家や地域住民との間で見解が対立しています。

この事業を手掛ける事業者の情報と、現在起きている問題の核心について解説します。

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目次

釧路のメガソーラー、事業者は「日本エコロジー株式会社」

釧路市でメガソーラーの建設を進めている事業者は、大阪府大阪市に本社を置く「日本エコロジー株式会社」です。

同社は再生可能エネルギー事業を全国で展開しており、今回の計画もその一環として位置づけられています。

日本エコロジー株式会社の概要

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会社名日本エコロジー株式会社
本社所在地大阪府大阪市
代表者松井 政憲
事業内容再生可能エネルギーに関する事業、環境関連事業など

同社は、地球環境問題への貢献を掲げ、太陽光発電をはじめとするクリーンエネルギーの普及を推進しています。

今回の釧路での事業についても、年間約2,000トンのCO2削減効果を見込む環境事業であると説明しています。

事業計画地と当初の計画

計画地は、釧路湿原国立公園に隣接する民有地です。

事業者は、あくまで

国立公園の「外」であり、法律上開発が可能な区域である

ことを強調しています。

当初の計画では、約27ヘクタールの土地に36,000枚以上のソーラーパネルを設置する大規模なものでした。

しかし、計画地の一部でオジロワシの営巣木が確認されたことなどから、釧路市教育委員会が文化財保護法に基づく通達を出し、計画は縮小されました。

現在の計画では、開発面積は約4.2ヘクタール、ソーラーパネル約6,600枚を設置する規模となっています。

何が問題?釧路メガソーラーを巡る3つの対立点と現在の状況

この計画を巡っては、事業者側と、猛禽類医学研究所の齊藤慶輔氏をはじめとする専門家や環境保護団体、一部の地元住民との間で、主に3つの点で意見が大きく分かれています。

対立は深刻化し、行政や国も巻き込んだ社会的な問題へと発展しています。

対立点1:環境アセスメントと希少動物調査の妥当性

最も大きな論点となっているのが、タンチョウやオジロワシといった希少動物の生息環境への影響と、その調査の妥当性です。

  • 事業者側の主張

    日本エコロジー社は、事業着手前に複数回にわたり専門のコンサルタント会社へ希少動物調査を依頼したと主張しています。

    その上で、タンチョウの専門家である認定NPO法人タンチョウ保護研究グループの百瀬理事長から「営巣地や重要な餌場ではなく、タンチョウの生育に大きな影響はない」との評価を得て、釧路市の「太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」に基づき、市から受理された上で工事を開始したと説明しています。

    手続きの正当性を強調し、一部で指摘されている「無調査」という情報は事実ではないと強く反論しています。

  • 批判側の主張

    一方、猛禽類医学研究所の齊藤慶輔氏らは、調査が不十分であると指摘しています。

    事業者側が意見を求めたのはタンチョウの専門家であり、オジロワシなど他の猛禽類に関する専門的な知見が不足していると懸念を示しています。

    また、調査期間や範囲についても、繁殖期を含めたより長期的で広範囲な生態調査が必要だと主張。

    「工事の音や人の動きによって、周辺の営巣地が放棄される可能性がある」と、事業地そのものだけでなく、周辺環境への間接的な影響も問題視しています。

    釧路市立博物館も調査が不十分として再調査を要請しましたが、工事は開始されました。

対立点2:法令遵守と企業の社会的責任

事業の進め方を巡る法令遵守の姿勢も、対立の火種となっています。

  • 事業者側の主張

    日本エコロジー社は、法律やガイドラインを遵守しているという立場を崩していません。

    希少動物への配慮として、雛の侵入を防ぐ細かいメッシュフェンスの設置や、鳥の衝突リスクを低減するため反射の少ないパネルを採用するなど、環境保護への取り組みも行っていると説明。

    「歴史的環境破壊」や「暴挙」といった批判は事実に反し、名誉を著しく毀損するものだと反論しています。

  • 批判側の動向と行政の対応

    しかし、2025年9月に入り、北海道庁と釧路市が現地調査を行った結果、開発面積の一部が0.5ヘクタールを超える森林区域でありながら、森林法に基づく北海道からの開発許可を得ずに工事を進めていた疑いが浮上しました。

    これを受け、道は事業者に対し、違法開発の可能性がある区域での工事中止を勧告する事態となっています。

    また、伐採完了後の状況報告書の提出が約4ヶ月遅延した上、市職員が虚偽の日付を記載するように誘導したのではないかという疑惑も報じられ、行政の対応を含めて問題は複雑化しています。

    元大臣を含む国会議員団も現地を視察し、「脱法的にルールギリギリで対応したから問題ない、というのは今の時代にふさわしくない」と、企業の社会的責任のあり方に言及しています。

対立点3:深刻化する情報発信と社会的対立

この問題はSNSなどを通じて広く拡散され、社会全体を巻き込む論争へと発展しています。

  • 事業者側の被害

    日本エコロジー社は、同社を批判する情報の中には虚偽の内容が含まれており、それによって事業への誤解が広がっていると主張しています。

    同社にはクレームや脅迫を含む電話・メールが殺到し、特に新卒社員が恐怖心から通常業務に従事できなくなるなど、甚大な業務妨害が発生していると訴えています。

    この状況を受け、同社は名誉毀損および偽計業務妨害として警察への刑事告訴を相談し、民事訴訟の準備も進めていることを公表。

    著名人や議員による不当な批判に対しても、法的措置を講じるとしています。

  • 社会的な関心の高まり

    一方で、齊藤氏らの発信やメディアの報道により、釧路の豊かな自然環境を守るべきだという世論も高まっています。

    モデルの冨永愛さんをはじめとする著名人もSNSで建設への懸念を表明するなど、その関心は全国的に広がっています。

    環境省や文化庁も事態を注視しており、文化庁は文化財保護法に基づき、タンチョウなどへの影響が軽微でない場合には罰則が科される可能性や、原状回復を求めることができるとの見解を示しています。

    釧路市も、太陽光発電施設の設置を許可制とする新たな条例案を市議会に提出するなど、規制強化の動きを見せています。

まとめ:釧路メガソーラー事業者はどこ?問題点は?

釧路のメガソーラー問題を巡る現在の状況を、5つのポイントでまとめます。

  • 事業者:
    計画を進めているのは大阪府に本社を置く「日本エコロジー株式会社」。
  • 計画地:
    釧路湿原国立公園に隣接する民有地で、当初の計画より規模は縮小されている。
  • 主な対立点:
    希少動物の調査が十分か、企業の社会的責任、法令遵守の姿勢などを巡り、事業者と専門家らの意見が対立している。
  • 現在の状況:
    北海道から森林法違反の疑いで一部工事の中止勧告が出されたほか、報告書の遅延と虚偽記載疑惑が浮上。
    事業者は法的措置も辞さない構えを見せている。
  • 社会的な影響:
    国会議員や著名人も関心を示し、SNSで情報が拡散。
    釧路市は規制強化のための条例案を提出するなど、社会全体を巻き込む問題となっている。

メガソーラーの建設は、全国各地で問題となっていますね。

早急な法や条例の整備を望みます。

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