参政党に所属する参議院議員、初鹿野裕樹(はじかの ひろき)氏。
2025年の参議院選挙で初当選を果たした同氏は、元警視庁の柔道指導者という異色の経歴を持っています。
その経歴や人物像、政策について関心が集まっています。
初鹿野裕樹氏のwiki風プロフィールと異色の経歴

初鹿野裕樹氏は、柔道家、警察官、そして政治家という三つの顔を持ちます。
そのユニークなキャリアはどのように形成されたのでしょうか。
まずは基本的なプロフィールを確認し、日本の治安維持の最前線から国政の中心へと舞台を移すまでの、異例ともいえる経歴を深く掘り下げていきます。
基本プロフィール
初鹿野氏の基本的なプロフィールを以下の表にまとめました。一見するだけでも、その経歴の特異性がうかがえます。
項目 | 内容 |
氏名 | 初鹿野 裕樹(はじかの ひろき) |
生年月日 | 1977年7月6日 |
年齢 | 48歳(2025年時点) |
出身地 | 神奈川県横浜市港南区 |
最終学歴 | 東海大学 体育学部 |
所属政党 | 参政党 |
当選回数 | 参議院1回 |
前職 | 警視庁警部補 |
現職 | 参議院議員、会社顧問(警備・精密機械) |
資格 | 柔道七段、全日本柔道連盟公認A指導員・B審判員 |
座右の銘 | 宿命に生まれ運命に挑み使命に燃える |
柔道エリートから警視庁指導者への道
初鹿野氏の人物像を語る上で、柔道は欠かせない要素です。
彼のキャリアの原点は、数々のオリンピックメダリストを輩出してきたスポーツの名門、東海大学体育学部にあります。
強豪として全国に名を馳せる柔道部に所属し、厳しい稽古に明け暮れる日々を送りました。
在学中には主力選手として全国団体優勝に貢献するなど、輝かしい実績を残しています。
ここで培われたのは、単なる格闘技術だけではありません。
厳しい規律の中で育まれた礼節、瞬時の判断力、そして何よりプレッシャーに打ち勝つ強靭な精神力でした。
2000年に大学を卒業すると、その卓越した能力を社会に活かすべく警視庁に入庁します。
柔道での実績が評価され、すぐに指導者としての道を歩み始めました。
配属先は、警察官の育成を担う警務部教養課。
逮捕術や柔道の指導を通じて、後進の育成に情熱を注ぎます。
特筆すべきは、その指導対象が一般の警察官にとどまらなかった点です。
テロ対策の切り札である特殊急襲部隊(SAT)や、国内外の要人警護を担うSP(セキュリティポリス)といった、警視庁の中でも最高レベルの技能と精神力が求められる精鋭部隊の指導も任されました。
これらの部隊の任務は日本の安全保障に直結しており、一瞬の判断ミスも許されません。
初鹿野氏は、そうした極限の状況で活動する隊員たちに、実戦的な技術と冷静さを叩き込みました。
22年以上の警察官人生で指導した警察官は実に1万人を超え、文字通り日本の治安維持の根幹を支える人材を育て上げたのです。
選手としても警視庁柔道代表として活躍を続けますが、2008年に現役を引退してからは指導に専念。
全日本柔道連盟の公認指導員・審判員として全国レベルの大会に関わる一方、港区や台東区の柔道会で理事を務めるなど、地域社会における柔道の普及と青少年の育成にも深く貢献しました。
政界転身のきっかけ
警察組織の中核で輝かしいキャリアを築いていた初鹿野氏ですが、2022年に彼の人生を大きく変える出来事が起こります。
それは、日本中を震撼させた安倍晋三元総理の銃撃事件でした。
この事件は、治安維持のプロフェッショナルである彼に、計り知れない衝撃を与えました。
直接警備の担当ではなかったものの、長年身を捧げてきた警察組織が要人の命を守れなかったという現実は、彼の自負とプライドを大きく揺さぶりました。
「自分たちが築いてきたはずの『安全な日本』は、本当に守られているのか」。
強い自責の念と、既存の仕組みに対する疑問が湧き上がってきたと言います。
この出来事を機に、
「組織の中からではなく、外から、より大きな枠組みで国に貢献する方法があるのではないか」
という思いが日増しに強くなります。
そして、安定したキャリアを捨てるという大きなリスクを伴う決断を下します。
2022年12月28日、22年間にわたり奉職した警視庁を依願退職。
彼の新たな挑戦が始まりました。
複数回の挑戦を経て国政へ
警視庁を退官後、警備会社と精密機械会社の顧問として民間企業の知見を得ながら、本格的に政治の道を模索し始めます。
その挑戦は、最初から順風満帆だったわけではありません。
2023年4月、まずは地域に根差した活動からと、神奈川県葉山町の町議会議員選挙に無所属で立候補。
しかし、知名度の不足もあり、結果は落選という厳しい船出となりました。
しかし、彼の挑戦はここで終わりません。
次に目指したのは国政の舞台でした。
自身の「日本人ファースト」や「国のまもりを固める」といった信条と、参政党が掲げる政策との間に強い親和性を見出し、同党からの出馬を決意。
2024年秋の衆議院選挙で、参政党の公認候補として神奈川11区から立候補します。
しかし、ここでも分厚い現職の壁に阻まれ、大敗を喫しました。
二度の敗北にも、柔道で鍛え上げた不屈の精神が折れることはありませんでした。
「諦めない」を信条に政治活動を続け、支持の輪を地道に広げていきます。
そして2025年、三度目の正直となる参議院選挙に神奈川県選挙区から挑戦。
これまでの活動で着実に浸透した訴えが実を結び、見事に初当選を果たしました。
二度の落選という苦杯を乗り越え、ついに国政への切符を掴んだのです。
初鹿野裕樹氏の政策・主張と経歴から見える人物像

元警察官という彼の経歴は、政治信条や政策に色濃く反映されています。
治安の最前線で見てきた現実と、国を思う強い信念が、彼の主張の根幹をなしています。
一方で、その直接的な物言いは、時に大きな議論を巻き起こすこともあります。
政策アンケートから見る政治スタンス
彼の政治スタンスは、新聞社などが行った政策アンケートへの回答に明確に表れています。
政策テーマ | 回答 |
消費税率10% | 引き下げ・廃止すべきだ |
原子力発電 | 積極的に活用する |
中国との関係強化 | 反対 |
憲法改正 | 早急に改正すべきだ |
防衛費の規模 | 2%より増やすべきだ |
財政規律 | 赤字国債の発行が増えることもやむを得ない |
選択的夫婦別姓 | 夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する |
これらの回答を読み解くと、一貫して保守的な立場であることが分かります。
特に、元警察官としての経験が強く影響しているのが安全保障に関する考え方です。
「憲法改正」や「防衛費増額」に前向きなのは、国の防衛体制を強化し、有事に備えるべきだという強い問題意識の表れでしょう。
「中国との関係強化に反対」という姿勢も、安全保障上の観点からきていると考えられます。
経済政策においては、「消費税引き下げ・廃止」を掲げ、国民の可処分所得を増やすことを重視。
財源については「赤字国債の発行もやむを得ない」とし、財政規律よりも積極的な財政出動を優先する姿勢です。
また、「選択的夫婦別姓に反対」という回答からは、伝統的な家族観を重んじる一面もうかがえます。
注目される発言と思想
初鹿野氏は、SNSなどを活用して自身の政治思想を積極的に発信しています。
その主張の核となるのが、「日本人ファースト」の推進と、日本の歴史認識に関する「自虐史観からの脱却」です。
特に大きな議論を呼んだのが、1937年の南京事件に関する発言です。
彼はSNS上で「南京事件は捏造されたものだ」「日本軍は世界一紳士な軍隊だった」といった趣旨の投稿を繰り返し、国内外で波紋を呼びました。
これは、国際的に広く認められている歴史認識とは大きく異なるものであり、多くの歴史学者や関係団体から「学術的定説への挑戦」「被害者への冒涜」といった厳しい批判が寄せられました。
他にも、「外国人移民政策の見直し」や「コロナ政策への過度な規制」に対する批判など、既存の政策や社会通念に疑問を投げかける発言が目立ちます。
こうした彼の主張は、日本の伝統や文化に誇りを持ち、国際社会における日本の名誉を回復すべきだと考える層から強い支持を得ています。
その一方、直接的で断定的な物言いは、しばしば「過激」「排外的」との批判を招き、社会に分断を生むリスクも指摘されています。
刑事告訴や疑惑をめぐる動き
彼の発言や活動は、時に法的な対立に発展することもあります。
2025年7月の参議院選挙期間中、日本共産党神奈川県委員会は、初鹿野氏を公職選挙法違反(虚偽事項の公表)と名誉毀損の疑いで刑事告訴しました。
問題とされたのは、初鹿野氏がSNS上で行った日本共産党に関する投稿で、これが「虚偽の中傷」であると主張しています。
この告訴が受理されるか否かについては、警察が慎重に検討を進めている段階と報じられており、今後の司法の判断が注目されます。
また、過去には一部週刊誌によって、警視庁在籍時代の金銭問題をめぐる「横領疑惑」が報じられたこともあります。
この報道に対し、所属する参政党は即座に「全くの事実無根」と声明を発表。
報道機関に対し、名誉毀損を理由に記事の削除と訂正謝罪記事の掲載を求めるなど、断固として戦う姿勢を見せています。
これらの出来事は、彼の「炎上を恐れない発信スタイル」や「既存メディア、他政党との対決姿勢」を象徴しているとも言えます。
賛否両論を巻き起こしながらも、自身の信じる道を突き進む姿勢が、彼の政治家としての際立った個性となっているのです。
まとめ:初鹿野裕樹の経歴とwikiプロフィール!元警察官の新人議員
最後に、初鹿野裕樹氏に関する情報を5つのポイントにまとめます。
- 元警視庁警部補で、SATやSPなど1万人以上の警察官を指導した柔道・逮捕術のエキスパート。
- 安倍元総理銃撃事件をきっかけに、22年間務めた警視庁を退官し、政治の道を志した。
- 町議選、衆院選での落選を乗り越え、2025年の参院選(神奈川選挙区)で初当選を果たした。
- 憲法改正や防衛費増額、消費税廃止を訴え、安全保障と経済成長を重視する保守的な政治家。
- 歴史認識などをめぐる直接的な発言で注目を集める一方、刑事告訴されるなど賛否両論を呼んでいる。

今後のご活躍を期待します。

