リユース業界の最大手、株式会社コメ兵ホールディングス。
その成長を牽引するのが、代表取締役社長の石原卓児氏です。
彼は異業種での経験やMBA取得で得た知見を活かし、家業であるコメ兵を大きく飛躍させました。
その経歴は、挑戦と学びの連続でした。
石原卓児氏の経歴|wiki風プロフィール

石原卓児氏の経歴は、一般的な事業承継者とは一線を画します。
家業に入る前に異業種で社会人経験を積み、経営者として必要なスキルを自ら学びに行った経歴は、彼の経営哲学の根幹を成しています。
生い立ちと学生時代
石原氏は1972年、愛知県名古屋市に生まれます。
コメ兵の創業家に生まれましたが、すぐに家業を意識する道は選びませんでした。
高校時代はラグビーに情熱を注ぎ、キャプテンとしてチームを牽引。
この経験が、後のリーダーシップの礎となったと言われています。
高校卒業後は、ラグビー発祥の地であるイギリスへの留学を決意。
驚くべきことに、その費用を自ら稼ぐため、1年間アルバイトと勉学に励んだというエピソードがあります。
この自立心と行動力は、彼の人物像を物語っています。
大学は、イギリスの英国暁星国際大学へ進学。異文化の中でグローバルな視点を養いました。
社会人としての第一歩と転機
大学卒業後、石原氏はすぐにはコメ兵に入社しませんでした。
新宿西口本店という激戦区でカメラ販売を担当し、顧客との関係構築の重要性や商売の厳しさと楽しさを肌で感じました。
この経験が大きな財産となりますが、キャリアプランは予期せぬ形で変更を余儀なくされます。
当時社長であった父が急逝したのです。
これを受け、石原氏は3年と決めていたヨドバシカメラでの勤務に区切りをつけ、1998年に家業である株式会社コメ兵へ入社する決断をしました。
コメ兵での経歴と経営者への道

コメ兵に入社後、石原氏は「裸の王様」になることを避けるため、現場での下積みを徹底的に行います。
その道のりは、社長就任後の大胆な経営戦略へと繋がっていきました。
現場での下積みから経営幹部へ
コメ兵でのキャリアは、ヨドバシカメラでの経験を活かせるカメラ売場から始まりました。
その後、時計、アメカジ衣料など、主要な売場を約1年ごとに渡り歩き、リユース商材の幅広い知識と鑑定眼を養います。
現場経験を積んだ後、経営の中枢へとキャリアを進めます。
2003年には、コメ兵にとって東京への本格進出の足がかりとなった有楽町店の立ち上げ店長に抜擢。
その後、新宿店店長も歴任し、名古屋とは異なる市場での店舗運営に奮闘しました。
この経験を通して、彼はコメ兵のブランド力を全国区にするための課題と向き合います。
その後、会社のマーケティングを担う営業企画部長として手腕を振るい、取締役、常務、副社長と着実にステップアップしていきました。
年 | 役職・出来事 |
---|---|
1996年 | 株式会社ヨドバシカメラ 入社 |
1998年 | 株式会社コメ兵 入社 |
2003年 | 有楽町店 店長 |
2009年 | 取締役 営業企画部長 |
2011年 | 常務取締役 |
2012年 | 代表取締役副社長 |
2013年 | 代表取締役社長 就任 |
2020年 | 株式会社コメ兵ホールディングス 代表取締役社長 就任 |
MBA取得と社長就任後の実績
その動機は、「事業承継への危機感」と「若手社員からの提案を知識不足で無下にしたくない」という強い思いでした。
体系的な経営知識を得た石原氏は、2013年に4代目社長に就任。
ここからコメ兵の快進撃が始まります。
社長就任後、約10年で売上高を4倍以上に拡大させるなど、目覚ましい実績を上げました。
その経営戦略の柱は、「リレーユース(Relay Use)」という独自の価値観です。
これは、単なる中古品売買ではなく、「モノの価値を次の人へ繋ぐ」という考え方で、品質管理や顧客体験の向上に徹底的にこだわっています。
また、個人ノルマを廃止してチーム目標を重視する人材戦略や、国内外への積極的な店舗展開(2024年時点で国内外合わせて200店舗以上)など、MBAで得た知識と現場で培った感覚を融合させた施策を次々と打ち出しました。
まとめ
石原卓児氏の経歴は、常に学び、挑戦し続ける姿勢に貫かれています。
彼の歩みを5つのポイントにまとめました。
- 家業を継ぐ前にヨドバシカメラで異業種の現場を経験し、商売の基礎を学んだ。
- コメ兵入社後は、複数の売場や立ち上げ店長を経験し、徹底した現場主義を貫いた。
- 事業承継への危機感からMBAを取得し、経営者として必要な知識を体系的に習得した。
- 社長就任後は、売上高を大幅に伸ばし、国内外への積極的な店舗展開を成功させた。
- 「リレーユース」という価値観を掲げ、人材育成と顧客体験の向上に力を注いでいる。

接客と商売の現場を学ぶため、ヨドバシカメラに入社した石原さん。
その時の経験が、現在の社長業にも活かされているのでしょう。
これからのご活躍を見守りたいと思います。

