2025年7月、島根県の山中で記憶を失った状態で発見された自称「田中 一」さん。
自分が誰なのか、どこから来たのか、一切の記憶がないという衝撃的な状況は、多くのメディアで報じられ、大きな注目を集めています。
この記事では、田中さんが発見された経緯から、謎に満ちた所持品、そして現在に至るまでの道のりを詳しく解説していきます。
田中一さん記憶喪失事件の全容

田中さんの記憶喪失事件は、多くの謎を含んでいます。
発見時の状況から、その後の不可解な出来事まで、一体何が起こったのでしょうか。
発見の経緯と謎の所持品

田中さんが最初に意識を取り戻したのは、2025年7月10日頃、島根県奥出雲町の国道314号線沿いの茂みの中でした。
激しい頭痛と共に目覚めた彼は、自分の名前も、なぜそこにいるのかも全く思い出せない状態でした。
発見時の状況は以下の通りです。
項目 | 詳細 |
服装 | 半袖Tシャツ、黒いズボン、サンダル |
所持品 | イタリア製ブランドバッグ、スウェーデン製腕時計、衣類、メガネ、モバイルバッテリー、ライター |
財布 | ブランド物の財布。中身は空で、身分証なども一切なし。 |
現金 | バッグの中に、チャック付きポリ袋に入れられた現金約60万円。 |
携帯電話 | なし |
身分を証明するものが何一つない一方で、バッグの中には約60万円という大金が。
この不可解な状況が、事件の謎を一層深めています。
発見後の数日間、田中さんは「延命水」と呼ばれる名水で渇きを癒し、野宿をしながら過ごしていたといいます。

(出典:奥出雲町観光協会)
“記憶を探す旅”と予期せぬ逮捕
自分が誰なのかを知るため、田中さんは断片的な記憶を頼りに旅を始めます。
まず、所持していた60万円を元手にキャンプ用品を揃え、約3週間、記憶が戻るのを待ちました。
しかし、思い出すのは大阪のグリコの看板や富士山など、ごくわずかな情報のみ。
8月に入り、島根県警に相談しますが、指紋や顔写真を照合しても身元は判明しませんでした。
市の担当者から「大阪に行ってみては」と提案され、記憶の断片にあったグリコの看板を目指し、8月中旬に大阪へ向かいます。
しかし、看板を見ても記憶は戻りませんでした。
さらに大阪では、思わぬ事態が彼を待ち受けていました。
生活保護の相談のために訪れた市役所で警察に通報され、職務質問を受けた際、所持していたバッグから身に覚えのない刃渡り約8センチの折りたたみナイフが見つかり、銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕されてしまったのです。
約10日間の勾留の後、悪意を持ってナイフを所持していたわけではないと判断され、釈放。
この間、警察や検察の調査で記憶喪失の状況が認められ、「更生緊急保護」という制度の対象となりました。
現在の生活と今後の展望

逮捕、釈放という波乱の日々を経て、田中さんの生活は新たな段階に入りました。
社会的な支援を受けながら、彼はどのように過ごしているのでしょうか。
NPO法人の支援と生活再建
釈放後、田中さんは大阪府内のNPO法人「ぴあらいふ」が運営するグループホームに身を寄せることができました。
「更生緊急保護制度」は、身元が不明で家族などからの援助を受けられない人々に対し、住居や就労の支援を行うものです。
現在、田中さんはこのグループホームで生活しながら、法人が運営する飲食店でアルバイトとして働き、少しずつ生活を立て直そうと努力しています。
「自分がどういう人間だったのか、今後どう生きていけばいいのか全く分からない」と不安を口にしながらも、多くの人々の支えの中で、一歩ずつ前に進んでいます。
なぜ記憶喪失になったのか?

田中さんの症状について、専門家は強い精神的ストレスが原因で起こる「解離性健忘」の可能性を指摘しています。
これは、脳が耐え難い出来事から自身を守るための防衛反応として、特定の期間の記憶を失ってしまう症状です。
頭部に出血などの外傷がなかったことから、物理的な衝撃よりも心理的な要因が引き金となった可能性が高いと考えられています。
言語能力や日常生活に必要な技能は保持されているため、話したり、基本的な生活を送ったりすることに支障はありません。
情報提供の呼びかけ
田中さんはいま、「自分のことを知っている人に出会いたい」という切実な思いから、発見された時と同じモヒカンの髪型を維持しています。
そして、メディアの取材に応じたのも、自身の記憶に繋がる情報を得るためでした。
現在、NPO法人「ぴあらいふ」が情報提供の窓口となっています。
- 年齢:30代後半~40代前半(見た目)
- 特徴:標準語を話す(わずかに関東訛り)、身長約165センチ、黒縁メガネ
- 連絡先:NPO法人「ぴあらいふ」 TEL:080-6664-7759
どんな些細な情報でも、彼の失われた過去を取り戻すための大きな手がかりになる可能性があります。
まとめ
最後に、この記事の要点を5つにまとめます。
- 自称「田中一」さんは2025年7月、島根県の山中で記憶喪失の状態で発見されました。
- 身分証は一切ありませんでしたが、バッグの中には現金約60万円という大金が入っていました。
- 記憶の手がかりを求めて大阪へ向かった後、ナイフ所持の疑いで逮捕されましたが、不起訴処分となりました。
- 現在はNPO法人の支援を受け、「更生緊急保護制度」のもとで大阪府内のグループホームで生活しながら、自立を目指しています。
- 専門家は強いストレスによる「解離性健忘」の可能性を指摘しており、現在も身元に繋がる情報提供が求められています。

はやく身元がわかると良いですね。

